1950年(昭和25年)、和辻哲郎氏を会長として発足。以後、倫理に関する研究およびその普及を図ることを目的とし、下記の事業を行う。

1.大会の開催(年1回) 2.年報およびその他の刊行物の発行 3.国内および国外における同種団体との連絡 4.会員の研究に対する援助 5.その他の必要な事項

また、若手研究者の斯学の研究業績で優れたものに授与するものとして和辻賞がある。

[資料] 日本倫理学会(仮称)設立総会招請状

謹啓 秋冷の候お変りもないことと存じ上げます。

陳れば終戦後人文・社会・自然の諸学科各部門において全国的学会が相ついで設立せられ、これが研究調査活動の強力な推進機関となるは勿論のこと、日本学術会議会員候補者の推薦母胎ともなるなど、その存在意義には見るべきものがあることは御承知の通りであります。然るに私達の専攻する倫理学には、いまだにそのやうな学会は設立されて居りません。尤も十五年程前まで倫理学会と称する全国規模を持たうとした学会が存在し、雑誌「倫理研究」を刊行して居りましたが、久しく活動を中止して今では有名無実のものとなつてゐます。そこで、今回有志の者が、寄りあつまり前の倫理学会を復活して新たに日本倫理学会(仮称)を設立して内外各方面の要望に応へることに致しました。就ては貴台にも会員として御協力を賜はりたく、なほ十一月二十五日(土)二十六日(日)の両日東京大学文学部教室において創立総会並に第一回研究発表会を左記要領で開催する予定で居りますから、その節は万障御繰り合せ御参加下さるやう願上げます。(なほ詳細なことは決定次第御通知申上げます)。

〔中略〕

〔一九五〇年〕一〇月 日

東京都文京区本富士町

東京大学文学部倫理学研究室内

日本倫理学会(仮称)設立準備委員会

伊藤良二 伊藤智源 池岡直孝 岩崎務 大杉謹一 金子武蔵 川田熊太郎 勝部真長 筧泰彦 木村伊勢雄 木下一雄 熊崎武良温 小山甫文 小牧治 後藤眞 佐々木英夫 佐藤俊夫 鈴木秀三 長屋喜一 原富男 橋本孝 深作守文 古川哲史 牧野信之助 宮崎友愛 山田孝雄

〔後略〕